あなたは経費を正しく使えていますか?
「個人事業主になったから経費を使いたい!」
「何が経費になるのか知りたい!」
「経費っていくらまで使っても大丈夫か教えてほしい」
と考えていたら、要注意!
確かに、経費を使えば使うほど、利益が減るので税金を減らすことができます。
ただ、経費を使うということは、同時に手元のお金を減らすことになるので、注意してください!
「経費を使いすぎて、手元にお金が残らなかった・・・!」
「事業でお金が必要なときに、お金が足りない・・・!」
なんてことにならないように、賢い経費の使い方について解説します。
いずれにせよ、経費はあくまで手段であって、目的ではありません。
何でも経費してしまうと、結局は手元にお金が残らず、損する可能性も出てくるので個人事業主の方は、ぜひ最後までチェックしていただくことをおススメします。
というわけで、こんにちは。
経理のフリーランスとして仕事をしている新井です。

資金繰りを通して、お金の診断を行い、手元に残るお金を増やすサポートをさせて頂いています。
過去に、新井に寄せられた相談の中で、「事業を拡大していきたいが資金に不安がある」、というお客様がいました。
財務状況を確認してみると、今のままでは3ヶ月後にキャッシュアウトして倒産してしまうという状況でした。
原因を調べた結果、事業を拡大するにあたり雇った社員の人数が多すぎて、人件費が倍増していることが発覚!
早急に経費の見直しを行い、銀行から資金調達も実行しました。
さらに、手元にお金を残すためのアドバイス通りに実行してもらった結果、約1年半で・・・
売上げが約1.5倍!手元に残るお金は18倍!
になりました。
適正な経費の範囲で事業を進めていた結果、財務状況が改善して、最終的に新規事業の立上げも成功して、やりたいことが実現できるようになりました。
この事例は、決して珍しいことではありません。
必要だと思った経費が、実は売上に対して多すぎて、お金がなかなか残らなかったり、反対に経費を抑えるあまり、事業が伸びていかないケースがあります。
せっかく本気でビジネスをしているのに、どちらも残念ですよね。
経費はただ使うだけではなく、費用対効果を考えて賢く使わないと、事業はうまく回っていきません。
そういう状況になる前に、まずはこの記事をしっかり読んで経費について理解してくださいね。
目次
経費とは!?

経費とは、事業で使うお金のことと思っていませんか?
違います。
経費とは、売上を伸ばすために必要な手段です。
会社員だと、備品や出張旅費など仕事に関わるお金は会社が負担してくれますよね。
これは、売上を伸ばしていくために会社が投資してくれるものです。
そのため、使う目的を事前にいろいろ聞かれたり、上司の承認をいちいちもらわないと経費が使えないわけです。
個人事業主の場合は、上司がいませんので、あなた自身の判断で経費を決めなければなりません。
極端な例ですが、売上の全部を経費に使ってしまえば、生活費が残らないどころか、税金や社会保険(健康保険や年金)の支払いもできなくなってしまいます。
だからこそ、個人事業主は経費を使う「目的」と「計画」をしっかりと立てていきましょう。
1-1経費の目的
先ほど伝えた通り、経費は売上を伸ばすために必要な手段です。
事業を伸ばしていくためには経費、つまりお金の先行投資が欠かせません。
投資とは、設備や機械を買う時だけではなく、コンサルティングやアドバイスを受ける時も当てはまります。
あなたもサービスやコンテンツを作って販売する前に、本やセミナーで勉強しますよね?
これも投資の1つであり、知識や情報を仕入れるためには、最初にお金を使い、それを後から売上で回収していくのが正しい投資です。
ここで大事なのでは、費用対効果であり、経費を使うことで、売上につながっているかということ。
個人事業主になりたての頃や売上が伸びた時は、入金されたお金をすべて自分のものだと思って、つい費用対効果を考えずにお金を使ってしまいがちです。
経費の目的はあくまで事業が伸びるかどうか!
少しお金が増えたからといって、お金を使いすぎないように注意しましょう。
1-2判断に迷う経費
個人事業主は、事業とプライベートを分けることが難しいため、実際の財布や銀行口座が混在してしまいがちです。
そのため、
「これは経費になるのかな?」
「どこまで経費にしていいのかな?」
と、迷うことが少なくないですよね。
何度も繰り返しますが、経費は、「売上を伸ばすために必要な手段」です。
そのため、経費としてお金を使う前に、それが売上につながるかどうか考えて使っていきましょう。
それでも経費にできるか迷ったときは、次のようなことを考えてみてください。
あなたが税務署の方から、次の質問されたらどう回答しますか?
「このレシートは何の経費ですか?」
「この経費がお仕事と、どういう関係がありますか?」
「接待交際費で書かれている、取引先とはどのような取り引きをしていますか?」
もし、この質問に自信を持って回答できないときは、経費にすることができないと理解しておきましょう。
1-3経費の勘定科目一覧
では、どんなものが経費になるのでしょうか?
経費の具体例を勘定科目と合わせて紹介しますので、経費になるかどうか迷った時に参考にしてください。
<勘定科目一覧>
勘定科目 | 内容 |
給与 | 給料、アルバイト代 |
外注費 | アウトソーシング代、業務委託費用 |
通信費 | 電話代、インターネット利用料、ドメイン・サーバー代、切手・ハガキ代、郵送料 |
保険料 | 保険代 |
賃借料 | 家賃、駐車場代、事務所代、レンタル料金 |
会場費 | セミナー会場費用、レッスンの場所代(会場・体育館など) |
水道光熱費 | 電気、ガス、水道代 |
諸会費 | 年会費(クレジットカード、協会) |
支払手数料 | 振込手数料、サービスの対価 |
交際費 | 5,000円超/人の飲食代、贈答品代(お歳暮・お中元) |
会議費 | 打合せ時の飲食代(カフェ代) |
旅費交通費 | 電車・バス・飛行機代、ホテル代 |
研修費 | セミナー、講習費用 |
広告宣伝費 | 広告掲載料、ホームページ制作料、チラシ、インターネット広告、名刺など |
新聞図書費 | 書籍代(電子書籍)、新聞代、雑誌 |
備品消耗品費 | 事務用品、PC関連(マウス、キーボード、ディスプレイ) ※10万円未満 |
修繕維持費 | パソコン・スマホ・車の修理代、保守費用 |
租税公課 | 印紙、証紙、住民票の取得費用、税金(事業税・固定資産税等) |
雑費 | どこにも当てはまらないもの |
1-4経費のQ&A
勘定科目別に経費を紹介しましたが、もちろん事業内容によっても変わります。
そのため、実務に応じたQ&A方式でも解説しますね。
Q1.自宅兼事務所の家賃は?
A1.OK!
事業で使用している部分(面積割合など)のみ、経費になります。
例えば、
自宅兼事務所の家賃が10万円の場合、事業で使用している面積が全体の3割なら、3万円を経費にします。
この他にも、家賃を働いた時間で按分する方法もあります。
ただし、面積割合や働いた時間で計算する方法は、非常に手間がかかるとともに、計算も複雑になってきます。
そこでおススメしたいのが、家賃(+共益費)の3割を経費とする方法です。
これだと、計算も非常に簡単で分かりやすいですよね。
もし、「厳密に計算するのは面倒だ!」と感じたら、ぜひこの方法を取り入れてみてください。
それと、家賃を払ったときの仕訳は、次のようになるので、参考までに載せておきますね。
【例】
自宅兼事務所の家賃が10万円の場合で、経費が3万円、残りはプライベートにするときは、
地代家賃 30,000 普通預金 100,000
事業主貸 70,000
プライベートの費用は、「事業主貸」という科目を使って仕訳しておきます。
※「事業主貸」についてはのちほど解説しますね。
Q2.スマートフォンの通信料は?
A2.OK!
仕事で使う携帯電話の通話料・通信料などの料金は、経費にできます。仕事とプライベートで同じスマートフォンを使っている場合は、仕事で使用した部分のみ経費になります。(仕事とプライベートが混ざるものの考え方はのちほど解説しますね。)
A3.OK!
iPadを仕事で使っている場合、本体代金も経費になります。仕事とプライベートの両方でiPadを使っている場合は、作業時間などの適正な割合で計算する必要があります。
A4.OK!
接待を目的としてた場合は、経費になります。ただし、金額が高額になると認められない場合があります。
A5.NG!
スピード違反や駐車違反など、罰金は経費になりません。
A6.NG!
基本的に経費になりません。ただし、スポーツトレーナーのユニフォームなど、事業で必要となる衣装代などは、経費にできることもあります。
A7.OK!
交際費として経費にできます。ただし、一般的に二次会以降は認められないので注意しましょう。
A8.OK!
事業に関係するセミナーであれば認められます。参加した際にもらった資料などを残しておくと、より確実です。
A9.NG!
本人や家族の健康診断などは、経費にできません。ただし、家族以外の従業員がいる場合は、従業員の健康診断の費用は経費にできます。
A10.OK!
カフェで仕事をした場合のドリンク代は経費にできます。ただし、食事代は経費になりません。
A11.OK!
事業で使用している部分のみ、経費になります。
厳密に計算するなら、事業のために使用した時間で按分します。
ただ、これも手間を考えて、家賃と同じ3割を経費にすることもできます。
A12.OK!
事業で使用している部分のみ、経費になります。
厳密計算するなら、プライベートで走った距離と、仕事で走った距離で按分します。
ただ、これも手間を考えて、家賃と同じ3割を経費にすることもできます。
車の場合は、ガソリン代以外にも消耗品や自動車税、駐車場代もあるので、忘れないでくださいね。
Q&Aのまとめ
事業とプライベートで経費が混ざる場合は、厳密に計算するのは非常に難しく、複雑になっていきます。
もし、厳密に計算するよりも、簡単に計算できればいいと考えるなら、事業部分は3割、プライベート部分は7割と割り切った計算がおススメです。
もし、この他に経費についてお悩みのことがあれば、ご相談承りますので、ご安心ください。
1-5プライベートのお金はどうする!?
個人事業主は、事業とプライベートのお金を分けることが難しく、混ざってしまいがち。
例えば、自宅で仕事をしている場合、家賃や水道光熱費を一括で支払いしてますが、事業分とプライベート分とに分けなくてはいけません。
この他にも、事業とプライベートで使ったものを一緒に支払うケースは多々あります。
仕事用のお財布と銀行口座をそれぞれ用意して利用する方法も考えられますが、面倒なので現実的ではありません。
実際に、売上が入金されている事業用の銀行口座から、家賃の支払いをしたり、生活費を引き出すこともありますよね。
この場合は、「事業」から「事業主(プライベート)」にお金を貸したことになり、「事業主貸」という勘定科目を使って仕訳をする必要があります。
反対に、事業用のお金が足りなくなったに、プライベートの口座から事業用の口座に送金した場合や、経費を自分で立替えたときは、「事業」が「事業主(プライベート)」からお金を借りたことになるため、「事業主借」という勘定科目を使います。
他にも「事業主貸」と「事業主借」の勘定科目は、次のようなときに使うので、参考にしてくださいね。
<事業主貸>
(借方) (貸方)
事業主貸 100,000 普通預金 100,000
※事務所の面積は全体の1/3
(借方) (貸方)
地代家賃 100,000 普通預金 300,000
事業主貸 200,000
※社会保険料・税金の支払いは「事業主貸」。
(借方) (貸方)
事業主貸 100,000 普通預金 100,000
<事業主借>
(借方) (貸方)
普通預金 300,000 事業主借 300,000
(借方) (貸方)
普通預金 300,000 事業主借 300,000
※車両(取得価額200万円、減価償却累計額160万円)を50万円で売却
(借方) (貸方)
普通預金 500,000 車両運搬費 2,000,000
減価償却累計額 1,600,000 事業主借 100,000
このように、プライベートなお金であっても、帳簿に記録しておく必要があるので、勘定科目を把握して、モレがないように注意してくださいね。
経費にするために必要なこと

事業とプライベートが混ざる場合の帳簿のつけ方を理解したとこで、続けて経費の計上について解説していきますね。
経費として計上するためには、単に帳簿に記録するだけではなく、証拠となる書類も一緒に保管しておかなくてはいけません。
そのため、帳簿と書類をセットで保管しておくと紛失の心配がないので、おススメです。
2-1経費を計上するために必要な書類
経費に計上するための必要書類には、
・レシート
・領収書
・請求書
などがあります。
これらの書類には、「いつ・何を・いくら・誰に」支払ったのかが記載されており、帳簿にも同じように記録していきます。
2-2レシートVS領収書
よく受ける質問の中に、
「レシートと領収書はどちらを保管したほうがいいですか?」
というご相談を寄せられることが多々あります。
新井の回答は、意外に思われるかもしれませんが、「レシート」です!
理由は、レシートであれば購入した品目が明確に書いてあるから。
領収書には「いつ・何を・いくら・誰に」は記載されているものの、購入した品目の詳細が記載されていません。

特に、複数の物を購入した場合だと、物によって勘定科目が変わることもあるので、レシートと領収書で迷ったら、レシートをもらうようにしておきましょう。
2-3交際費の注意点
交際費に関しては、前述の「いつ・何を・いくら・誰に」に加えて、「誰と何人で」という項目を記載しなくてはいけません。
お店からもらうレシートや領収書には、「誰と何人で」という項目は記載されませんので、ボールペンで直接あなたが書かなければなりません!
これらを記載する理由は、交際費は、事業とプライベートが混ざりやすく、第三者から見た場合は、その判断が難しいから。
そのため、税務調査では、交際費は経費の中で最も厳しく見られる傾向にあり、どのような目的だったか、それが実際に事業につながったかなど聞かれることがあります。
交際費として堂々と経費にするためにも、「誰と何人で」行ったのか記載して、目的をしっかりと伝えられるようにしておきましょう。
個人事業主は、法人と違って交際費の上限がないので、くれぐれも使い過ぎには注意してくださいね。
(※経費の正しい使い方や適正な金額については、のちほど解説しますね。)
2-4レシートや領収書を紛失しても慌てない!マル秘お助けグッズ。
経費に計上するためには、支払った証拠となる「レシートや領収書」が必要なことは分かりましたね。
ところが、
「レシートや領収書をなくしてしまった!」
「切符を買ったけど、領収書をもらい忘れた!」
「領収書が出ない慶弔費はどうすればいいの?」
なんてときはどうすればいいのでしょうか?
安心してください。
そんな場合は、「出金伝票」を書いて、証拠として保管してください。

出金伝票とは、「いつ・何を・いくら・誰に」を記載しておくことでレシートや領収書の代わりになるものです。
100円ショップにも売っていますので、一冊購入しておくと、いざというときに安心ですね。
ただし、レシートや領収書をもらうのが面倒という理由で、全部の経費を出金伝票にしてしまうことだけは絶対にやめてください。
出金伝票が多すぎると、出金伝票があったとしても、「実際にお金は払ってないんじゃないか?」という、いらぬ疑いを持たれてしまう可能性があります。
そうならないためにも、基本的にはレシートや領収書をもらうようにして、領収書がもらえなかった、紛失してしまったときの最後の手段として、出金伝票を使うようにしてくださいね。
2-5領収書・レシート、帳簿などの保管期間
経費に関わる書類はもちろん、売上に関わる書類も含めて、保管しておく期間が法律で定められています。
保管期間は、青色申告をしている方は7年間、白色申告をしている方は5年間です。
うっかり、書類を捨ててしまわないように、毎年きちんと整理しておいてくださいね。
青色申告VS白色申告:起業当初こそ青色申告がおススメ

経費を計上するための必要書類がわかったところで、お次は確定申告についてお話しますね。
個人事業主は、毎年3月15日までに確定申告をしなくてはいけません。
先ほどの保管期間の中でも紹介しましたが、確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2つがあります。
「とりあえず、白色にしておこう」、「売上が伸びてから青色にしよう」と考える人が多いですが、超経理・新井の考えは、「起業当初こそ青色申告がおススメ」です。
「青色申告」は「白色申告」に比べて難しいとイメージがありますが、「白色申告」だと損をすることがあるので、要注意!
ここからは、「青色申告」をおススメする理由を3つ解説しますので、しっかりと理解してくださいね。
①e-Tax利用で最大65万円の「青色申告特別控除」が受けられる
②3年間にわたって赤字を繰り越しできる
③30万円未満の固定資産を一括経費計上できる
3-1 e-Tax利用で最大65万円の「青色申告特別控除」が受けられる
「青色申告特別控除」とは、利益(売上-経費)から自動的に55万円を経費として認めてあげますよという制度です。
そのため、利益が100万円の場合だと、「青色申告特別控除」により55万円が引かれるので、利益が45万円となります。
更に、e-Taxを使って電子申告を行えば、「青色申告特別控除」が10万円増えて、65万円が引かれるので、上記の例であれば利益は35万円。
青色申告をするだけで自動的に利益が減って、税金負担も減るので、非常にありがたい制度ですよね!
3-2 3年間にわたって赤字を繰り越しできる
青色申告には、赤字の繰り越しができる制度があります。
この制度の使い方は、起業前と起業後で少し異なってきますので、それぞれ解説していきますね。
①起業前
起業前の準備段階でも、経費を使うことってありますよね。
例えば、起業のために、セミナーを受けたり、本を買って勉強をしたり、必要な備品を揃えたり。
このように、起業前に使った経費(※開業費(かいぎょうひ)と呼びます)を、起業後に経費として利用することができるんです。
起業前の経費(開業費)を活用した赤字の繰り越しについては、そもそも開業費がどういうものか理解しておく必要があります。
開業費は起業する前にしか使うことができないので、「これから個人事業主になるぞ!」という方は、ぜひお付き合いください。
※開業費とは、開業前(起業前)の準備活動に使った費用であり、これを起業後に経費にすることができるもの。
イメージが湧きやすいように、具体例を挙げて解説しますね。
・事務用品などの備品
・起業に向けた勉強のためのセミナー代や書籍代
・打ち合わせ費用
・スマホの通信費
・チラシの広告宣伝費
に総額60万円がかかったとします。
この60万円を、起業後の2022年12月31日の確定申告(申告期限2023年3月15日)で、経費にすることができます。
例えば、起業1年目の利益が20万円の黒字の場合、開業費60万円があるので、これを引くことで、利益を0円(利益20万円-開業費20万円)に減らすことができます。

更に、2年目に100万円の黒字だった場合も、開業費は40万円(開業費60万円-1年目の利益20万円)が残っているので、2年目の利益を60万円(2年目の利益100万円-開業費の残り40万円)に減らすことができます。

この2年目に繰り越しをするためには、1年目から青色申告が必須条件になるので、注意してください。
②起業後
起業1年目以降の赤字の繰り越し
青色申告をしていて、起業1年目が100万円の赤字の場合で、2年目に20万円の黒字だったとします。
その場合は、1年目の赤字(100万円)を使って、2年目の利益と相殺することで、利益を0円にすることができます。
本来であれば、2年目の利益20万円に対して税金がかかってきますが、1年目の赤字を利用することにより、2年目の利益も0円にできます。
更に、3年目の利益が60万円だった場合、残り80万円(1年目の赤字100万円-2年目の黒字20万円)の赤字を使うことができます。
これにより、3年目も税負担を減らすことができるので、この制度を使わない手はありません。
特に、起業当初は利益を出しにくいことも多いので、少しでも税負担が減る青色申告は、起業当初から取り組んでいくことがおススメです。
3-3 30万円未満の固定資産を一括経費計上できる
3つ目のメリットは、30万円未満の固定資産を買ったときに、一度に全額を経費にできるという制度です。
通常、10万円以上のものを買った場合は、固定資産になるため一度に経費として計上することはできず、何年かにわたって(法定耐用年数)経費にしていきます。(「減価償却」と言います)
例えば、パソコンを20万円で買った場合の減価償却期間は、通常4年。
そのため最大でも1年目で経費にできるのは、5万円(20万円÷4年)。
これを4年間、毎年繰り返すことで少しずつ経費として計上していくのが、本来の計算方法です。
ただし、青色申告をしていれば、購入した年に20万円を経費にすることもできます。

特に、事業の利益が大きく出ているときは、減価償却ではなく一度に経費として計上すれば、年間の利益を減らすことができるので、税負担を減らすことができます。
3-4青色申告に挑戦しよう
このように、3つの大きなメリットがあるので、起業当初から青色申告に選びましょう。
ただし、青色申告をするには複式簿記による帳簿の作成と、決算書(貸借対照表及び損益計算書)を確定申告書に添付する必要があります。
もし、「青色申告をしたいけど、帳簿の作り方が分からない」、「決算書が合っているか不安・・・」という場合は、ご相談承りますので、ご安心ください。
書類の保管は月別かつ日付順がおススメ

書類の保管期間は青色申告は7年、白色申告で5年間なので、書類の保管だけでも結構なボリュームになります。
ただ、レシートや領収書は、お店や取引先によって形や大きさも様々で保管するのも困ってしまいますよね!?
更に、紛失してはいけないものだから、とても気を使ってしまうものでもあります。
とはいえ、前述した通り、経費に計上するためには、「帳簿に記録」するだけではなく、支払った証拠となる書類(レシート・領収書・請求書)が必要になります。
そこで私が提案するのは、
・A4用紙にレシートや領収書を貼る
・日付順にして月別で保管する
です。
5-1 A4用紙にレシートや領収書を貼る
レシートや領収書を保管しておく方法として、A4用紙にレシートや領収書を貼る方法がおススメです。

これによって、サイズが異なる書類でも大きさを統一できて、保管しやすくなります。
私の場合は、A 4用紙にレシートや領収書を日付順に貼って、月ごとに綴じた上で、クリアファイルに入れているだけ。
これにより、紛失することもないですし、月ごとに分かれているので、チェックや探す時間も短縮できて楽になってきますので、ぜひ試してみてください。
5-2日付順×月別で保管する3つのメリット
① 入力や見返すのがラク
経理(帳簿の入力)をするときは、レシートや領収書を見ながら入力することになるので、日付順にしておくとラクです。
更に、入力した後に、A4用紙にのり付けして保管しておけば、どこにいったか分からなくなってしまうこともありません。
A4用紙に貼っておけば、サイズも統一されるので保管も簡単にできて、紛失するリスクを減らすことができます。
② セルフチェックがラク
日付順かつ月別に保管をしておくと、帳簿のチェックもラクになります。
特に青色申告をしている方にとっては、入力ミスやモレがないか、帳簿とレシートのチェックが必要になります。
レシートを日付順に並べておけば、帳簿との照らし合わせもラクにできるので、ぜひ試してみてください。
③ 第三者に対しても分かりやすい
レシートや領収書の書類は、最終的には第三者に見てもらうことがあります。
税理士や経理担当者がいれば、チェックしてもらうこともありますし、税務調査になれば調査官が見ることになります。
その際も、日付順かつ月別に整理しておくとことで、相手にとっても見やすくなるので、お互いに仕事がしやすくなってきます。
更に、税務調査では帳簿やレシートを、月別のレシート一式や日付を指定してピンポイントで提示が求められることがあります。
このときに、書類がサッと出せるようにしておくといいでしょう。
書類がきちんと保管・整理できている、指定された書類がサッと出せるということは、経理の管理がしっかりできている印象になります。
そうなれば、相手も人間なので、調査の目が緩むことも考えられます。
小さなことですが、経理書類をきちんと管理できていないことで、相手に悪い印象を与えないためにも、経理書類は見やすく、探しやすい保管がおススメです。
早く、ラクに、正しく帳簿を作れる「Excel」

青色申告で帳簿を作る必要があると、お伝えしました。
今だと、いくつかのクラウド会計ソフトがあり、
「どのソフトがいいの?」
「設定できるか不安だ・・・」
というご相談をいただくこともあります。
まず、帳簿を作る方法としては、クラウド会計以外にExcelや、手書きがあります。
この中で最も、早く。ラクに正しく帳簿を作れるのは、一体何だと思いますか?
超経理の回答は「Excel」。
もちろん、新井自身もExcelで帳簿を作っています。
Excelをおススメする理由は、2つあります。
6-1Excelがおススメの理由1
Excelのおススメの理由の1つ目は、入力が簡単で早く、オフラインでも使えること。
クラウド会計もいろいろ試しましたが、だんだん入力が簡単になってきているものの、Excelほどではなく、オフラインで利用できないのが不便なところ。
また、Excelは手書きと違ってコピペも簡単にできるので、入力が簡単に早くできます。
6-2Excelがおススメの理由2
Excelのおススメの理由の2つ目は、集計をカスタマイズできること。
Excelで入力したものを集計するときに、ピボットテーブルを使うことで簡単に集計できることはもちろん、あなた仕様にカスタマイズもできます。
人によって見たい数字や必要な数字は異なってくるので、自分仕様にカスタマイズして集計できるExcelはおススメです。
ちなみに、私が重要にしているのは、推移と割合(売上や経費割合)です
預金や売上はどのような推移になっているか、そして経費は売上の何割になっているかを重視しています。
なぜ、新井がこの数字を見ているかはのちほど解説しますね。
効率的に帳簿を作るには

Excelで帳簿を作ったほうが、早く、ラクに、正しく帳簿を作れることは分かったけど、「帳簿を作るのは時間がかかって大変!」と感じている方もいますよね?
そこで、ここからは超効率的に帳簿を作るためにおススメの方法をお話していきます。
7-1経理は毎日する
帳簿を作る作業(経理)を毎日することで効率的になります。
「ただでさえ面倒くさい経理を毎日するなんて・・・!」と思われるかもしれませんが、毎日すれば、領収書を見たときに何の経費だったのか覚えていますし、毎日きちんと保管すれば紛失のリスクも下がります。
①思い出す時間を効率化
毎日入力することで、経理の入力スキルも上がります。
領収書の入力の際、効率が落ちる大きな原因は、
・何の経費だったか思い出すこと
・入力モレをすること
・入力方法を忘れること
です。
特に忘れやすいのが、支払方法が、現金だったのかカードだったのかということ。
これを間違えると、現金残高やカード明細の金額が合わなくなってしまいます。
また、交際費であれば「誰と何人で」ということも忘れる可能性もあります。
この他にも、入力モレや入力方法を思い出すのに時間がかかってしまうと、効率が悪くなります。
経理を毎日することで、思い出す時間が減り、入力モレを防ぐことができるので、効率的に帳簿を作ることができます。
②確定申告の効率化
毎日経理をすることで、確定申告も楽になります。
これまで頂いた相談の中にも、確定申告の時期になって、
「気づいたら3月になっていました。」
「帳簿がまったくできていません。」
「何から手を付ければいいのか分からなくなりました。」
という声が多くありました。
後からしようと思うと、なかなかできないのが人間です。
最後に慌てて確定申告を仕上げようとすると、ミスが発生したり、予想以上に時間がかかってしまったりして、本業に支障をきたす可能性もあります。
更に、12月31日までにしかできない節税もあるので、損をしてしまうことがあるんです。
毎日経理をすることで、正しい数字で早く申告ができるようになり、結果として負担なく、損もしない申告ができるので、経理は毎日取り組んでいきましょう。
7-2経理の時間を決める
1日の中で経理(帳簿を作る)をする時間を決めることで、習慣になります。
おすすめの時間帯は、朝イチ!
私の場合は、起床して歯磨きをした後に経理をしており(超経理なので。笑)、日々の行動の習慣に組み込むことで習慣にしています。
また、朝に経理をするとレシートが財布に溜まることがないので、きれいな状態に保つことができます。
財布の掃除をするつもりで取り組むと、気持ちよく財布を使うこともできますよ。
時間はあなたのタイミングの良い時間を選んでもらってOKですが、もし迷ったら朝にやってみてくださいね。
歯磨きした後にやりましょう!(笑)
7-3 1日5分でOK
経理を毎日行うと、1日5分で済みます。
私の経理の流れは、
財布からレシートを出す
↓
Excelの入力
↓
A4用紙にレシートを貼る
たったこれだけです。
毎日することで、経理の流れがスムーズになり、経費の内容も覚えているので、素早く終わらせることができます。
1日5分であれば、テレビやスマホを見る時間をちょっと減らせばできますよね!?
1日5分でも、1年継続すれば30時間ほど。
まとめて経理する場合にかかる、仕訳のやり方や領収書の中身を思い出す時間を加えると、更に時間がかかってしまいます。
結局は、毎日することが最も効率的に、早く経理を終わらせる方法なので、ぜひ試してください。
7-4毎日するメリット
「経理を毎日すれば、効率的だし、時間を決めて1日5分ならできるかも!?」
と思っても、実際にやろうとすると面倒ですよね?
分かります。
私がこれまで経理セミナーを開催して、やり方をお伝えしても、実際に経理を毎日している方は少ないのが現状です。(涙)
経理を毎日するメリットは、効率だけではありません。
お金が貯まりやすくなるという効果もあるんです!
その理由は、問題点に早く気づくことができて、改善が進むからです。
「毎日体重を測ると痩せる」という話を聞いたことはありませんか?
これは毎日体重を測ると、体重が増えた場合でも、食事や運動で調整をすることで、体重が増えすぎることを未然に防ぐからです。
実際に、私も体重を毎日測ることで、20年以上体重が増えていません。(ちなみに、お酒もお菓子も大好きです。)
お金も同じで、経理を毎日することで、数字の変化に気づきやすくなります。
お金を使いすぎたと思ったら、まずは使うお金を調整して、本当に必要な経費だったのか、今じゃなければいけなかったのかなど、お金について考える時間を作ることができます。
これを繰り返していくこで、お金の使い方がうまくなり、自然にお金が貯まる仕組みができてきます。
仕事の中で、お金を全く考えずに、確定申告の時期になって「あれ、なぜかお金が増えていない!?なんでだろう?」と思っても、改善するのは難しいですよね?
経理を毎日することで、無駄な支出や経費の改善ができるようになるので、お金も貯まりやすくなっていきます。
経理を楽にする方法

経理を毎日すると、良いこと尽くめだと分かったところで、ここからは、経理を今よりも楽にする方法を3つ紹介しますね。
経理をしていると、
「経理って細かすぎて苦しい」
「経理は完璧にしないといけない」
「慣れていなから時間がかかりすぎる」
と感じることはありませんか?
そんなお悩みを解決するために、経理を楽にする3つの方法があるんです。
①勘定科目にこだわらない
②完璧を目指さない
③自分の時給を考える
この3つの方法をここから解説していきます。
8-1勘定科目にこだわらない
勘定科目で迷ったときの一覧を、1-3で紹介しました。
ただ、経理の勘定科目に決まりはないんです!
例えば、電車代は「旅費交通費」で経理する方が多いですが、これを「電車代」としても問題はありません。
私であれば、車にかかる経費をまとめて管理しているので、車に関わる経費はガソリン代や修理費用を含めて全て「車両費」としています。
経理をする際は、あなたが何を管理したいのか、どのようにすると分かりやすいかで決めて問題ありません。
ただし、勘定科目は年間を通して統一しないと、混乱してしまうので、9月の電車代は「電車代」としていたのに、10月は「旅費交通費」となってしまわないように、一覧を作るなど忘れない工夫をしてくださいね。
8-2完璧を目指さない
経理は完璧を目指さないことも重要です。
もちろん、完璧にできるに越したことはありませんが、最初からそこを目指すと経理が余計にイヤになってしまいます。
まずは、6割主義でいきましょう。
ただし、必ず数字を合致させたいものもあります。
それが、「現金」と「預金」、そして「売上」です。
①現金
かつて、経理は「現金が合えば、全てが合う」と言われる時代もありました。
今はキャシュレスが普及しているので、だんだん「現金」を使う機会が減ってきましたよね?
「現金」を使う場合は、「財布の中に残っているお金」と帳簿の「現金」勘定を合わせる必要があります。
クレジットカードであれば、利用明細を見ればが何に使ったか分かりますが、現金はあなたが管理をしないと何に使ったか、すぐに分からなくなります。
②預金
預金は、お金の中でも最も大きく動く勘定科目になるので、通帳残高と帳簿を毎月合わせておいてください。
銀行預金は通帳があるので、残高を合わせやすいですよ。
③ 売上
売上は利益に大きく影響を与えるため、きちんと管理しておくことが必要です。
特に、確定申告の締めである12月の売上は、1月に入金されることが多いので要注意。
1月の入金も確認した上で、売上がモレていないか、必ず確認しておきましょう。
8-3自分の時給を考える
経理するときに考えてほしいことは、あなたの時給です。
経理はお金に関わることなので、ビジネスをする上で重要ですが、あなたの本業ではないはずです。
例えば、100円の領収書について1時間考えたり、悩んだりするのは時間の無駄。
100円の領収書を経費にするか悩んだり、考えたりしても、残念ながら大した節税にはつながりません。
あなたの時給を考えれば、1つの領収書を経費にするよりも、売上を伸ばすことを考えたほうが、何倍もメリットが大きいわけです。
経費にするか悩むレシートが見つかったときは、あなたの時給と天秤にかけてどちらが得か考えてみましょう。
売上を伸ばす経費の使い方

冒頭から何度もお伝えしている通り、経費とは、売上を伸ばすために必要な手段です。
そのため、経費の使い方によって売上を伸ばすことができる一方で、売上が伸びずに資金繰りが苦しくなる個人事業主を見てきました。
ここからは、
・無駄な経費がないか分析する方法
・経費でお金を使いすぎてしまいがちなもの3選
・お金を貯める重要性
を解説してきます。
個人事業主にとって経費をコントロールすることは、とても重要なので、しっかりと読んで理解してくださいね。
9-1金額が大きい経費の上位3つを分析する
経費を分析するときに、すべての勘定科目を見ると時間がかかりすぎるのでNG。
金額が大きい経費の上位3つに注力していきましょう。
3つの中で売上につながっていない経費はないか?確認してくださいね。
9-2大きくなりやすい経費とは?
続いては、経費の中で大きくなりやすいもの3つを紹介します。
それは、「旅費交通費」と「交際費」、「研修費」。
事業によって差はあるものの、ほとんどの個人事業主がこの3つのボリュームが大きいです。
この3つに共通するのは、「仕事ではなく、自分の娯楽になりやすいこと」。
「旅費交通費」であれば、仕事の出張とプライベートな旅行が混ざりやすく、「交際費」も接待ではなく飲み会になってしまう場合があります。
「研修費」もセミナーや講習で学ぶこと自体は必要ですが、学ぶことが目的になってしまい、学んだことをしっかりアウトプットできずに、売上につながらないこともあります。
経費が売上につながっているか確認して、つながっていない経費は削減していきましょう。
9-3節税よりもお金を貯める
「個人事業主になったから、経費をたくさん入れて節税をしたい!」
こんなふうに考えている個人事業主の方にいつもお伝えしているのは、「節税よりもお金を貯めるほうが重要」ということです。
確かに、経費が増えれば税金は減りますが、これは同時に手元のお金も減らすことになってしまいます。
経費1万円を使ったからといって、1万円が節税できるわけではありません。
大切なことは、目的を持って必要なことにお金を使うことであり、必要なものを必要なときに買える状態をキープするためにお金を貯めておくことです。
経費を使うときは、節税よりも目的意識を持ちきましょう。
経費っていくらまで使って大丈夫??

経費の話をしているときに受ける質問で、「経費っていくらまで使っていいの?」という声があります。
経費で使ってもいい金額というのは、売上または粗利(※あらりと読みます)によって、変わってきます。
※粗利については、この後に詳しく説明しますので、少し我慢してお付き合いくださいね。
あなたが、経費を使いすぎているのか、または経費を抑えすぎているのか、これを分かっておくだけで、お金の使い方が変わってきます。
経費は、多すぎるとお金が足りなくなってしまい、キャッシュアウトの危険性が出てきます。反対に、経費を抑えすぎると、投資がうまくできず、事業が伸びていきません。
この記事の中で最も大切なポイントなので、経費の目安額をしっかりと理解して、事業を伸ばす経費の使い方をしていきましょう。
10-1売上と粗利
経費の目安額を解説する前に、粗利(※)について説明しますね。
※粗利とは
粗利とは、売上から仕入れなどの原価を引いた金額です。
八百屋さんを例に解説していきますね。

例えば、
八百屋さんが農家から野菜を140円で仕入れて、お客さまに200円で販売した場合、粗利は60円(200-140円)となります。
例えば、あなたが、コンサルティングやコーチングなど、何かを教える仕事をしている場合は、「売上」をベースに経費の目安額を計算します。
一方、あなたの事業が、商品を仕入れて販売するECサイトの運営などであれば、「粗利」をベースに経費の目安額を計算していく必要があります。
これは、ECサイトの運営などは、仕入れなしに売上が立たないので、同じ100円の売上でも手元に残るお金が異なってくるからです。
要は、仕入れがあるかないかがポイントです。
10-2経費は売上(粗利)の4割が目安
ここまで売上と粗利の説明をしてきました。
では、実際に経費はどのくらい使っても大丈夫なのか解説します。
私が提案している、経費の目安額は売上又は粗利に対して4割。

これを限度として経費を配分していきましょう。
経費を使うときも、ぜひ参考にしてください。
例えば、何か事業に対して経費を使うとき、
「1万円の経費で売上(粗利)が2.5万円(1万円÷0.4))を出せるか?」
という考え方です。
もちろん、全てが当てはまるわけではありませんが、経費を使うときの参考値として使ってみてください。
10-3売上(粗利)の残り6割の使い道
先ほど「売上(粗利)の4割は経費に使っても大丈夫」という話をしました。
では、残りの6割は何になるのか?
残りの6割は、「4割を生活費」、「2割を利益」として残しておきます。

個人事業主は売上から生活費も払っていくことになるので、自分の生活費を確保していかなくてはいけません。
この生活費の4割には、食費や家賃、社会保険料(健康保険、年金)なども含まれますので、この範囲で生活できるように、生活水準を考えて調整しておきましょう。
そして、残りの2割は利益とすると説明しましたが、実際にはこの中から事業の税金を出していくことになります。
税金を支払った後に残ったお金は、貯金やボーナスとして、あなたの自由に使っても大丈夫なお金になります。
10-4売上(粗利)は、「4:4:2=経費:生活費:利益」で配分
売上(粗利)は「4:4:2=経費:生活費:利益」を目安にお金を配分することで、手元にお金が残せるようになります。
事業は、1年で終わるものではなく、人生と同じように継続していくものです。
継続するからこそ、お客さまにサービスを提供し続けることができ、提供し続けるからこそ、価値が生まれて貢献ができます。
お客さまにより良いサービスを提供し続けるためにも、まずはあなたの事業基盤である、お金をしっかりと管理していきましょう。
まとめ(アクションプラン)

ここまで、個人事業主として、経費の使い方が重要だとお話しました。
この経費を使って投資を行い、売上として回収していく経験は、起業前にはできません。
そのため、経費を使いすぎてキャッシュアウトしそうになった方や、抑えすぎて上手く事業を伸ばせない方が多いのです。
個人事業主は、経費を上手く使いつつ、事業をどのように伸ばしていくかが重要です。
最後に、今からできる経費を上手く使っていくための方法を3つご紹介しますので、ぜひ取り組んでみてください。
11-1お金を毎月見直す
先ほど紹介した通り、お金を毎日見直すことが一番いいのですが、個人事業主は、一人でしなければいけないことがたくさんあるので、「毎日見直しできない!」と思いますよね。
毎日が無理であれば、月に1回はお金を見直しましょう。
月イチであれば、時間を作りやすく、取り組みやすいですよね?
「月に一度も時間が取れない!」という場合は、何か一つやめる必要があります。
個人事業主は忙しくなると、仕事がいっぱいある=充実していると勘違いして=満足してしまい、未来への投資や計画をする時間がなくなってしまうからです。
まずは、お金を見直す時間を確保することから始めましょう。
11-2経費の割合をチェック
2つ目は、売上(粗利)に対して経費がどのくらいの割合になっているかチェックすること。
あなたが、コンサルティングやコーチングなど、何かを教える仕事をしている場合は「売上」、商品を仕入れて販売するECサイトの運営などであれば「粗利」をベースに経費の割合を計算するとお伝えしましたね。
勘定科目を一つずつ見る必要はなく、経費の合計(人件費を除く)で考えていきます。
経費の合計が売上(粗利)の4割を超えないようにするために、どこを削ればいいのか、どこに投資するといいのか、この考え方が事業を伸ばしていくためには欠かせません。
11-3資金繰り表を作る
経費を考える上で、売上や利益に着目していくことはもちろんですが、事業を伸ばしていくためには、「資金繰り表」が最も重要です。
なぜなら、赤字経営であっても手元にお金があれば、つぶれることはありません。
反対に、黒字であっても手元のお金がなければ、つぶれてしまいます。
事業のお金の中で最も重要な計画は「資金繰り」です。
経費はもちろん、資金繰りを通して、お金の診断を行い、手元に残るお金を増やすサポートさせていただいています。
お客さまの中には、1年で売上が6倍、手元に残るお金が10倍になったお客さまもいます。
「経費について相談したい」、「資金繰りを見直したい」、「一緒に事業計画を考えてほしい」という場合は、こちらよりお問い合わせをお待ちしております。
